労働衛生コンサルタントとは?

労働衛生コンサルタントをわかりやすく言うと、厚生労働大臣が認めた労働衛生のスペシャリストとして、労働者の衛生水準の向上のため、事業所の衛生についての診断・指導を行う国家資格で、その内容は、労働安全衛生法第81条で定められています。労働衛生コンサルタントになるには、厚生労働大臣が指定したコンサルタント試験機関である(公財)安全衛生技術試験協会が実施する労働衛生コンサルタント試験に合格し、厚生労働大臣が指定した登録機関である同協会に登録することで、労働衛生コンサルタントとして活動することができます。

労働衛生コンサルタントの仕事内容とは?

安全衛生診断

事業所から依頼された作業場の施設、作業形態、作業の手順などに潜んでいる労働災害の原因を見つけ出し、改善指導を行います。

安全衛生の改善計画の作成

安全衛生改善計画には、施設、安全衛生教育、安全衛生管理体制に関する事項等リスク低減措置になり得るもののほか、労働災害の防止や職場環境の快適化を目的とするすべての対策が含まれます。

安全衛生指導

全国の都道府県労働局長は、衛生管理特別指導事業場に対し安全衛生改善計画を作成する場合、その作成実行についての指導援助を行ったり、安全衛生の専門家の指導を受けることができます。

労働安全衛生マネジメントシステムの監査や評価

事業場において、次に掲げる事項を体系的かつ継続的に実施する安全衛生管理に係る一連の自主的活動に関する仕組みであって、生産管理等事業実施に係る管理と一体となって運用されるものをいいます。また労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置が適切に実施されているかどうかについて、安全衛生計画の期間を考慮して事業者が行う調査及び評価を行います。

労働衛生コンサルタントや産業医との違いは何?

労働衛生コンサルタントと労働安全コンサルタントの違いとは?

労働衛生コンサルタントは、事業所の衛生状態を確認し、必要に応じ指導や改善計画の策定を行うことで労働者の衛生面、健康面の問題を未然に防ぐ役割を担います。
また、労働安全コンサルタントは、事業所の安全性を確認し、問題があれば指導や改善計画の策定を行うことで労働者の労働災害を未然に防ぐ役割を担います。

労働衛生コンサルタントと産業医の違いとは?

労働衛生コンサルタントと産業医の最も大きな違いは、事業者が負う選任義務の有無です。労働衛生コンサルタントがいれば労働環境の安全維持に役立ちますが、その選任が事業者の義務として定められているわけではありません。一方、産業医については選任が法的に義務付けられています。労働安全衛生法第13条によって、常時50人以上の労働者を使用する事業場では事業者に産業医を選任する義務が生じます。選任を怠った場合は罰則が課される場合があるため、産業医を選任すべき事由の発生から14日以内には選任を行う必要があります。

労働衛生工学とは?

労働衛生工学は、作業環境において健康障害などを引き起こす環境因子(粉じんや有機溶剤蒸気などの化学物質、騒音、温湿度など)を認識し、その濃度や強度および有害性を評価し、その発生源などを制御する方策を考える科学的技術です。

安全管理者や衛生管理者との違いとは?

安全管理者は安全に関する技術的事項の管理者で、危険をともなう作業などの応急措置、安全装置などの点検、労働災害の原因調査や対応策といった職務を担います。 一方、職場の環境衛生、労働者の健康を保持する職務を担うのが衛生管理者です。

安全管理者は安全に関する技術的事項の管理者で、危険をともなう作業などの応急措置、安全装置などの点検、労働災害の原因調査や対応策といった職務を担います。 一方、職場の環境衛生、労働者の健康を保持する職務を担うのが衛生管理者です。

労働衛生コンサルタントになるまでの道のりは?

筆記試験を受験(例年10月)し、合格すると口述試験(翌年1月)に進みすべて合格すると、労働衛生コンサルタントに登録して完了となります。

※詳細は、安全衛生技術試験協会のページや、日本労働安全衛生コンサルタント会のページご確認ください。https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikakueisei.htm
https://www.jashcon.or.jp/contents/

受験資格

安全衛生技術試験協会の受験資格へのページを参照
https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikakueisei.htm

合格率

労働衛生コンサルタントの資格は難関であり、合格率は「およそ3割」といわれています。 過去5年程度の合格率を見ても、およそ27%~40%程度を推移しており、参考まで、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会によれば、2021年度に最終試験を合格したのは29.7%でした。

日本労働安全衛生コンサルタント会への登録

厚生労働省または指定登録機関の登録を受けた労働安全コンサルタントおよび労働衛生コンサルタントが会員として約2600名で構成されており、47都道府県に支部があります。

労働衛生コンサルタントに仕事を依頼するには?

日本労働安全衛生コンサルタント会への業務相談、依頼する場

(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会に担当地域等の条件に合わせ、また、希望したい業務の専門分野の登録コンサルタントの紹介を受けることが良いかと思います。

自社で労働衛生コンサルタントを雇い入れている場合

事業所内に資格を取得した社員が、労働衛生コンサルタントとして活動している場合もあります。

その他専門的なWEB企業体、企業団体等に相談することも実務的でしょう。

労働衛生コンサルタントに仕事をしてもらった後はどうすれば良いの?

労働安全コンサルタントや、労働衛生コンサルタントに業務を依頼する場合には、契約を締結して所定の報酬対価を支払うことになります。例えば、顧問報酬、診断報酬、講演料など各業務により異なりますが、依頼者の立場に立って相談に応じています。